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労働相談Q&A

労働契約・就業規則について(質問と回答)

質問

必ず確認しよう、労働契約時の労働条件

私は、今春、県内の中小企業に就職します。友人から「就職を決める際に、会社から労働条件(賃金や労働時間等)の説明を書面で受けた。」と聞きましたが、私の就職する会社では、口頭で簡単な説明があっただけで、そのような書面での説明はありませんでした。少し不安になってきました。どうしたらよいですか。

回答

労働基準法では、使用者が労働者を雇い入れる際(労働契約締結の際)には、労働条件を明示しなければならないと定めています。 使用者と労働者が合意していれば、口約束だけでも労働契約としては有効に成立します。

しかし、使用者は、労働者に対して労働条件を何らかの方法で明示する義務があります。口頭のみでの労働契約の締結は、以後のトラブルの原因にもなりやすいので、できるだけ書面で行うことが望ましいといえます。もう一度会社に、書面で労働条件の説明をしてほしいと申し入れてください。

労働基準法では、次のような労働条件をはっきりと示さなければならないとされており、特に次の(1)~(6)の項目については、書面に記載して渡す必要があります。
 (労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条)
(1) 労働契約の期間
(2)就業の場所
(3) 所定の労働時間を超える労働(超過勤務)の有無
(4) 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇(年休など)、交替制勤務の交代要領に関すること。
(5) 賃金(臨時の賃金を除く)の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り日・支払時期、昇給に関すること。
(6) 退職に関すること(解雇・定年制など)。

この他、賞与、退職金などを支払うことになっている場合は、それも明示する義務があります。

* 明示義務違反:明示義務の違反に対しては、30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法第120条)、が、明示がない場合でも労働契約そのものは有効に成立するとされています。

勤めはじめたら、賃金が少なかったとか、労働時間が長かったとかいうように、もし労働条件が約束と違っていた場合は、労働者は、すぐに労働契約を解除することができます。つまり、会社を辞めることができます。その労働者が就職のために郷里から出てきていて、会社を辞めた日から14日以内に帰郷する場合は、その帰郷のための費用を会社が負担しなければなりません。

* 就業規則がある会社で、面接時に細かな労働条件の明示や取り決めがなかった場合は、就業規則がそのまま労働条件になります。また、労働組合が使用者と労働協約を締結している場合は、労働協約が優先します。
つまり、《労働協約>就業規則>労働契約の内容>労基法》となります。
 

質問

労働契約の期間について

私は、ある美容院に美容師見習いとして労働契約を結びました。契約書には契約期間について明確な定めがない一方で、「一人前になってから向こう4年間は、お礼奉公として勤務すること」と書いてありました。
このような契約期間の決め方に問題はないのでしょうか。

回答

労働契約には、「期間を定めた契約」と「期間の定めのない契約」とがあります。期間を定めた労働契約は、契約の拘束期間は3年以内を原則(高度の専門技術を要する労働及び労働者が60歳以上の場合は5年以内)と労働基準法で定められています。当然、労働者はやむを得ない場合を除いて、その期間が満了するまで労務を提供する義務を負います。
期間の定めのない労働契約の場合は、労働者はいつでも使用者に解約の申し入れができます。
また、契約期間が3年を超え、4年あるいは5年などとしている場合は、労働基準法第13条及び14条により期間は3年に短縮され、「期間3年の定めのある労働契約」となります。
本件の労働契約の期間に関する定めは、労働基準法第14条に違反しており無効です。よって、その旨を使用者に伝え、改めて契約期間を定めるよう申し入れて下さい。