腸管出血性大腸菌は、家畜、人の腸内、下水、家畜や感染者の糞便と通じて汚染された食品などに存在し、加熱不十分な肉を食べることなどをきっかけに感染します。毒性の強いベロ毒素を出し、感染すると平均3日~5日後に腹痛や水のような下痢、血便を引き起こします。乳幼児や高齢者などは重症化し、死に至る場合があります。
発熱、嘔吐、出血を伴う下痢などの症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
腸管出血性大腸菌は、加熱や消毒薬により死滅するため、一般的な食中毒対策(菌を「つけない、増やさない、やっつける」)で予防できます。
手には様々な細菌が付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないように、次のようなときは、必ず手を洗いましょう。
・調理を始める前
・生の肉や魚、卵などを取り扱う前後
・残った食品を扱う前
・調理中に、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後
・食卓につく前
菌を増やさないためには、低温での保存が重要です。また、低温でもゆっくりですが細菌が増殖しますので、冷蔵庫に入れても、早めに食べることが大事です。
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。
中心部を75℃で1分以上加熱しましょう。
ふきんやまな板、包丁などの調理器具に、細菌やウイルスが付着し、特に肉や魚、卵などを使った後は、洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌しましょう。台所用殺菌剤の使用も効果的です。(塩素系消毒剤約200ppmに5分以上つけおき)
用途 | 塩素系漂白剤の分量 | 薄める水の量 |
台所用品の消毒 | 【200ppm】ペットボトルのふた(約5ミリリットル)に1杯 | 500ミリリットルのペットボトル2本分 |
衣類の消毒 | 【1000ppm】ペットボトルのふたに2杯 | 500ミリリットルのペットボトル1本分 |
腸管出血性大腸菌感染症は6月~10月の高温期に多く発生します。患者、無症状病原体保有者を診断した場合には以下の対応をお願いいたします。
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法で定められた三類感染症(全数把握疾患)です。
患者、無症状病原体保有者を診断した医師は、発生届を記入し「直ちに」最寄りの保健所へ届出ください。(感染症法第12条)
※届出前に、届出基準の確認をお願いします。
※届出の際は、個人情報を伏せて記入様式をFAX(088-652-9334)、感染症サーベイランスシステムへの入力、いずれかの方法でお願いします。また、あわせて保健所までお電話(088-602-8907)ください。
また、食中毒が疑われる場合は、「24時間以内」に最寄りの保健所へ届出ください。(食品衛生法第58条)
保健所では、発生届を受理後、必要に応じて感染拡大防止と感染経路究明のため患者様に疫学調査をさせていただきます。また、患者様の周囲の方(家族や友人)が感染していないかどうか確認するために、接触者検診(便検査)を行います。
保健所へ届出を行うこと、保健所からの連絡があることについて、患者様にあらかじめお伝えください。
また、患者又は無症状病原体保有者では、病原体を保有しなくなるまで、飲食物の製造、販売、調整又は取り扱いの際に飲食物に直接接触する業務への就業が制限されます。学校保健安全法では、学校保健安全法第19条により学校感染症(第3種)として対応され、出席停止となります。あわせてご説明ください。
保健所では、検出された菌のDNAの型の確認を行っております。
主治医から検査機関へ、菌株を保管していただくようご依頼をお願いします。
患者様の病原体陰性確認後、以下の内容を確認し「感染症患者病原体消失等通知書」を保健所にFAX(088-652-9334)でご提出ください。
【患者の場合】
24時間以上の間隔をおいた連続2回(抗菌薬を投与していた場合には、服薬中と服薬中止後48時間以上を経過した時点での連続2回)の検便において、いずれも病原体が検出されないことを確認し、通知書を提出してください。
【無症状病原体保有者の場合】
1回の検便において、病原体が検出されないことを確認し、通知書を提出してください。