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腸管出血性大腸菌感染症について

腸管出血性大腸菌とは

 腸管出血性大腸菌は、家畜、人の腸内、下水、家畜や感染者の糞便と通じて汚染された食品などに存在し、加熱不十分な肉を食べることなどをきっかけに感染します。毒性の強いベロ毒素を出し、感染すると平均3日~5日後に腹痛や水のような下痢、血便を引き起こします。乳幼児や高齢者などは重症化し、死に至る場合があります。

もし、感染したら

発熱、嘔吐、出血を伴う下痢などの症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。

手洗い

  • 感染力が強いため、二次感染に注意しましょう。
  • 水洗トイレの取っ手やドアのノブなど、汚れた手で触れる場所は逆性石けんや消毒用アルコールなどで消毒しましょう。
  • 患者さん・周囲の方ともに、調理や食事の前及び用便後に流水で十分に手を洗い、逆性石けんや消毒用アルコールで消毒しましょう。

便の処理

  • おむつの交換など患者さんの便を処理するときは、使い捨ての手袋などを使いましょう。また、汚染の拡大を防止するため、毎回同じ場所でおむつ交換や処理を行いましょう。
  • 患者さんの便で汚れた下着は、塩素系消毒剤(約500~1000ppm)で消毒(つけおき30分以上)をしてから、家族のものとは分けて洗濯しましょう。また、煮沸も十分な消毒効果があります。

お風呂

  • できるだけ浴槽につからず、シャワー又はかけ湯を使いましょう。
  • 患者さんが風呂に入るときは、(乳幼児など)他の方と一緒には入らず、最後に使用しましょう。風呂の水は毎日替え、バスタオルは共用しないようにしましょう。

感染を予防するためには

腸管出血性大腸菌は、加熱や消毒薬により死滅するため、一般的な食中毒対策(菌を「つけない、増やさない、やっつける」)で予防できます。

(1)「つけない」洗う!分ける!

手には様々な細菌が付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないように、次のようなときは、必ず手を洗いましょう。

・調理を始める前

・生の肉や魚、卵などを取り扱う前後

・残った食品を扱う前

・調理中に、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後

・食卓につく前

  • 生の肉や魚などを切ったまな板で、野菜(加熱しないで食べるもの)などを調理するときは、菌が付着しないように、きれいに洗い、できるだけ殺菌しましょう。まな板を替えたり、加熱しないで食べる物を先に取り扱うのも有効です。
  • 焼き肉などは、「生の肉をつかむ箸」と「焼けた肉をつかむ箸」を分けましょう。
  • 食品の保管の際にも、密封容器に入れたり、ラップをかけたり、他の食品に付いた細菌が付着しないようにしましょう。

(2)「増やさない」低温で保存する!

菌を増やさないためには、低温での保存が重要です。また、低温でもゆっくりですが細菌が増殖しますので、冷蔵庫に入れても、早めに食べることが大事です。

(3)「やっつける」加熱処理!

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。

中心部を75℃で1分以上加熱しましょう。

ふきんやまな板、包丁などの調理器具に、細菌やウイルスが付着し、特に肉や魚、卵などを使った後は、洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌しましょう。台所用殺菌剤の使用も効果的です。(塩素系消毒剤約200ppmに5分以上つけおき)

家庭でできる消毒液の作り方

5%の塩素系消毒剤を使用する場合(漂白剤として市販されているほとんどが塩素濃度5%)
   用途          塩素系漂白剤の分量      薄める水の量
台所用品の消毒 【200ppm】ペットボトルのふた(約5ミリリットル)に1杯 500ミリリットルのペットボトル2本分
衣類の消毒 【1000ppm】ペットボトルのふたに2杯 500ミリリットルのペットボトル1本分

関連資料

徳島保健所管内の医療機関の方へ

腸管出血性大腸菌感染症は6月~10月の高温期に多く発生します。患者、無症状病原体保有者を診断した場合には以下の対応をお願いいたします。

1.発生届

腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法で定められた三類感染症(全数把握疾患)です。

患者、無症状病原体保有者を診断した医師は、発生届を記入し「直ちに」最寄りの保健所へ届出ください。(感染症法第12条)

届出前に、届出基準の確認をお願いします。

届出の際は、個人情報を伏せて記入様式をFAX(088-652-9334)感染症サーベイランスシステムへの入力、いずれかの方法でお願いします。また、あわせて保健所までお電話(088-602-8907)ください。

また、食中毒が疑われる場合は、「24時間以内」に最寄りの保健所へ届出ください。(食品衛生法第58条)

2.患者様への説明

保健所では、発生届を受理後、必要に応じて感染拡大防止と感染経路究明のため患者様に疫学調査をさせていただきます。また、患者様の周囲の方(家族や友人)が感染していないかどうか確認するために、接触者検診(便検査)を行います。

保健所へ届出を行うこと、保健所からの連絡があることについて、患者様にあらかじめお伝えください。

また、患者又は無症状病原体保有者では、病原体を保有しなくなるまで、飲食物の製造、販売、調整又は取り扱いの際に飲食物に直接接触する業務への就業が制限されます。学校保健安全法では、学校保健安全法第19条により学校感染症(第3種)として対応され、出席停止となります。あわせてご説明ください。

3.菌株の保管について

保健所では、検出された菌のDNAの型の確認を行っております。

主治医から検査機関へ、菌株を保管していただくようご依頼をお願いします。

4.患者様の菌陰性化の確認のお願い

患者様の病原体陰性確認後、以下の内容を確認し「感染症患者病原体消失等通知書」を保健所にFAX(088-652-9334)でご提出ください。

【患者の場合】

24時間以上の間隔をおいた連続2回(抗菌薬を投与していた場合には、服薬中と服薬中止後48時間以上を経過した時点での連続2回)の検便において、いずれも病原体が検出されないことを確認し、通知書を提出してください。

【無症状病原体保有者の場合】

1回の検便において、病原体が検出されないことを確認し、通知書を提出してください。