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ダニ媒介感染症SFTS(重症熱性血小板減少症候群)について

春から秋にかけては、マダニ等の活動が活発になる時期です。

野外で活動する際は、肌の露出を少なくして感染予防を心がけましょう。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは

 2011年(平成23年)に初めて特定された、新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって引き起こされる病気です。6日から2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)を引き起こします。重症化すれば、死亡することもあります。

感染経路

 SFTSウイルスを保有しているマダニに刺されることで感染します。

 マダニの中でも、病原体を保有しているマダニは極めてまれですが、発症すると重症化するので十分気をつけましょう。この病気を媒介するマダニは、食品等に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、家庭内に生息するダニとでは全く種類が異なります。また、植物の害虫であるハダニ類とも異なります。マダニ類は、固い外皮に覆われた比較的大型(種類にもよりますが、成ダニでは、吸血前で3~8ミリメートル吸血後は10~20ミリメートル程度)のダニで、主に森林や草地等の屋外に生息しており、市街地周辺でも見られます。

予防について

 マダニに刺されないことが重要です。

 マダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性が高まりますので、この時期は特に、農作業やレジャーなどで森林や草むら、藪などに入る場合には十分注意しましょう。マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾は靴下や長靴の中に入れる、または、登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダルなどは避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。長靴を履くのも効果的です。DEET(ディート)という成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われています。

 ペットなどの身近な動物にも気をつけましょう。

 ペットに付いているマダニに触れたからといって感染することはありませんが、マダニに刺されたら、その危険性はあります。マダニ類は犬や猫等、動物に対する感染症の病原体を持っている場合もありますので、ペットの健康を守るという観点からも、マダニの駆除を適切に行いましょう。ペット用のダニ駆除剤がありますので、かかりつけの獣医師に相談してください。

 野外活動後はすぐに入浴し、マダニに刺されていないか注意深く全身を確認してください。着用していた服もすぐに洗濯しましょう。

 

マダニに刺されたら

 マダニ類の多くは、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日間吸血します。無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあるので、医療機関(皮膚科など)で処置してもらってください。また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けてください。

治療方法

 現在のところSFTSに有効な抗ウイルス薬等の特異的な治療法は無く、症状に対処する治療法が主体になります。

徳島保健所管内の医療機関の方へ

SFTSが疑われる患者様を診察した場合,保健所にご相談ください。

 発症の経過や症状、検査所見等から行政検査の対象かどうかを判断します。行政検査となった場合、感染場所の究明等のため、患者様に健康調査を行います。調査への御協力をお願いいたします。

【潜伏期】マダニに咬まれてから6日から2週間程度です。

【症状】原因不明の発熱、消化器症状、(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が中心です。時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全症状、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が出現します。

【検査所見の特徴】血小板減少(10万/立方ミリメートル未満)、白血球減少、血清電解質異常(低Na血症、低Ca血症)、血清酵素異常(AST、ALT、LDH、CKの上昇)、尿検査異常(タンパク尿・血尿)などが見られます。

【診断】マダニに咬傷後の原因不明の発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少、AST・ALT・LDHの上昇を認めた場合、本疾患を疑います。ただし、全ての症状や検査所見が認められるわけではありません。そのため確定診断にはウイルス学的検査が必要となります。なお、患者がマダニに咬まれたことに気づいていなかったり、刺し口が見つからなかったりする場合も多くありますので、SFTSを疑い発症前の2週間の生活状況を聞き取っていただくことがポイントです。

【鑑別疾患】

1.感染症として、ダニ媒介疾患であるつつが虫病、日本紅斑熱、ライム病、エーリキア症、アナプラズマ症に加え、ウイルス性胃腸炎、トキシックッショク症候群、デング出血熱、SFTSウイルス以外のウイルスによる血球貪食症候群や肺血症

2.膠原病・血管炎として、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒素症候群(HUS)、全身性エリテマトーデス

3.悪性疾患として血液腫瘍疾患(白血病や悪性リンパ腫)などが挙げられます。

診断がつきましたら

 本疾患は、平成25年3月4日からの届出対象(第4類 全数把握)です。届出をお願いします。