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食中毒にご用心

ご存じでしたか? 家庭での食事が原因の食中毒は発生件数第2位です。

食中毒というと、給食やお弁当、レストランや旅館などの飲食店など外での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生する危険性がたくさん潜んでいます。実際に、厚生労働省に報告のあった食中毒事件だけをみても、家庭の食事が原因の食中毒が全体の約10%を占めています(平成28年)。

 

 

 

ただ、家庭での発生では症状が軽かったり、発症する人が1人や2人のことが多いことから、風邪や寝冷えなどと思われがちで食中毒とは気づかれず重症になることもあります。

こんな症状があれば、食中毒の疑いがあります。 かかりつけのお医者さんに相談しましょう。

  • 吐き気・嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱
  • 神経症状

食中毒の大部分を占める細菌性食中毒は、食品中で大量に増えた有害な細菌が付いた食品を食べたり、細菌が増える際に作り出す毒素を含む食品を食べることによって発症します。

細菌は適当な栄養分、水分、温度の3条件がそろうと爆発的に増えます。

食中毒予防の3原則は

  • 細菌をつけない
  • 細菌を増やさない
  • 細菌を殺す

細菌をつけないためには

台所の掃除、まな板、包丁、ふきん等の洗浄及び消毒、調理者の手洗い等清潔にすることによって食品にできるだけ細菌をつけないように心がけることです。

細菌を増やさないためには

調理から喫食までに時間が経過すると、細菌は急速に増殖します。調理後できるだけ速やかに喫食することにより、細菌の発育増殖が抑制できます。特に家庭料理、弁当などは4時間以内に喫食するように心がけることが必要です。
また、冷凍保存等、保存温度を低下させることで細菌の発育増殖を抑制することも可能です。

細菌を殺すためには

食品を十分に加熱調理すれば細菌を死滅させることができます。食品の中心温度(表面温度ではない)を75℃以上、1分以上加熱することが細菌を死滅させるポイントです。
また、ノロウイルスを死滅させるには、85~90℃で90秒以上の加熱が必要です。

家庭では、この3原則に基づいた次の「6つのポイント」に注意しましょう。

ポイント1  食品の購入

  • 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
  • 表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。
  • 購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
  • 特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら寄り道せず、まっすぐ持ち帰るようにしましょう。

ポイント2 家庭での保存

  • 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
  • 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、7割程度です。
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は、-15℃以下に維持することがめやすです。温度計を使って温度を計ると、より庫内温度の管理が正確になります。細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありません。早めに使いきるようにしましょう。
  • 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
  • 肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手指を洗いましょう。せっけんを使い洗った後、流水で十分に洗い流すことが大切です。簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。
  • 食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。また、直接床に置いたりしてはいけません。

ポイント3 下準備

  • 台所を見渡してみましょう。ゴミは捨ててありますか?タオルやふきんは清潔なものと交換してありますか?せっけんは用意してありますか?調理台の上はかたづけて広く使えるようになっていますか?もう一度、チェックをしましょう。
  • 井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
  • 手を洗いましょう。
  • 生の肉、魚、卵を取り扱った後には、また手を洗いましょう。途中で動物に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換したり、鼻をかんだりした後の手洗いも大切です。
  • 肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
  • 生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。
  • ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
  • 冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行いましょう。また、水を使って解凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。
  • 料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります。
  • 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消毒効果があります。包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。

ポイント4 調理

  • 調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。下準備で台所がよごれていませんか?タオルやふきんは乾いた清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。
  • 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。めやすは、中心部の温度が85~90℃で90秒以上加熱することです。
  • 料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
  • 電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器・ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

ポイント5 食事

  • 食卓に付く前に手を洗いましょう。
  • 清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
  • 温かく食べる料理は常に温かく、冷やして食べる料理は常に冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
  • 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。例えば、腸管出血性大腸菌O157は室温でも15~20分で2倍に増えます。

ポイント6残った食品

  • 残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
  • 残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
  • 時間がたち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
  • 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは90℃以上です。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
  • ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。

これらのポイントをきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう。

食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。

それでも、もし、お腹が痛くなったり下痢をしたり気持ちが悪くなったりしたら、

かかりつけのお医者さんに相談しましょう。