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遊泳用プールの衛生基準等について

遊泳用プールとは

水をためて多数の人に水泳をさせたりする施設のうち,その容量が概ね100立方メートルを越えるものをいいます。徳島県では、遊泳用プールの衛生水準を確保するため、「遊泳用プールの衛生基準について」(厚生労働省H19年通知)に基づき、衛生指導を行っています。ただし、学校教育法第一条に規定する学校(国公立,私立の小中高等学校等)に設置されたプールは学校保健法に基づき、別途、衛生管理が実施されています。

遊泳用プールの衛生基準の概要

<水質基準>

水質基準についてはその基準値とあわせてその測定頻度が定められています。

水質基準項目(単位) 厚生労働省基準値 文部科学省基準値 測定頻度
水素イオン濃度(PH) 5.8~8.6 5.8~8.6 毎月1回以上
濁度(度) 2 2 毎月1回以上
過マンガン酸カリウム消費量(mg/L) 12 12 毎月1回以上
遊離残留塩素濃度(mg/L) 0.4~1.0 0.4~1.0 毎日午前中1回以上、午後2回以上(うち1回はピーク時)
大腸菌群 不検出 不検出 毎月1回以上
一般細菌(CFU/mL) 200 200 毎月1回以上
総トリハロメタン(mg/L) 0.2 0.2 1年に1回以上(水温が高い時、遊泳者が多い時)
レジオネラ属菌(CFU/100mL) 不検出 - 設置などに応じて1年に1回以上

<維持管理基準>

  • プール水を水質基準で定める状態に維持すること。
  • 管理責任者、衛生管理者を設置すること。
  • プール水を常に消毒すること。
  • 残留塩素濃度がプール内で均一になるよう管理すること。
  • プール水の温度は、原則として22℃以上とすること。
  • 水質検査の結果、基準に適合しない場合に速やかに改善措置を講ずること。
  • プール管理日誌を作成し、気温、水温、残留塩素測定値、設備の点検状況、利用者数等を記録し、これを3年以上保管すること。

その他、設備の維持管理方法等について、詳しくは下記をご覧下さい。

プール維持管理Q&A

Q.残留塩素はなぜ必要か

A.残留塩素濃度が規定量存在しないと人体に影響を与える様々な病原菌が発生してしまうので、残留塩素濃度を正しく管理する必要があります。
※塩素消毒剤の殺菌効果(プールにおける疾病)
遊離残留塩素濃度 死滅菌
0.1 mg/L チフス菌、赤痢菌、パラチフス菌、コレラ菌、黄色ブドウ球菌、淋菌
0.15 mg/L ジフテリア菌、脳脊髄膜炎菌
0.2 mg/L 肺炎球菌
0.25 mg/L 大腸菌、溶血性連鎖球菌
0.4 mg/L アデノウイルス

【アデノウイルス起因による疾病】

・咽頭結膜炎(プール熱)→咽頭や結膜の分泌物、大便を介して感染。タオル等を共用しない。

・流行性結膜炎(はやり目)→結膜分泌物からの感染。タオル等を共用しない。

Q.残留塩素が出ない

A.
  • 古い薬剤を使用してませんか? 薬剤の種類によって有効期間が決められているので、期限切れの薬剤は薬剤メーカーと相談して使用して下さい。
  • 水の汚れがひどくありませんか? まず汚れを分解するために塩素が消費されます。これが終了次第、遊離塩素が出始めます。
  • PHが著しく酸性、またはアルカリ性に寄っていませんか? まず中和してから、塩素剤を入れて下さい。
  • 残留塩素測定器は大丈夫ですか? 色盤が変色したり、試薬が古くなったものは正確に反応しません。
  • 滅菌機は正常に作動していますか? 滅菌機から正常に塩素が注入されているか確認して下さい。

Q.塩素の消耗速度は

A.塩素の消耗は天候によって速度が異なり、晴天時、紫外線の多い時は、消耗が激しくなります。一般にプール水中の濃度では、10分間に0.2ppm程度とされています。 特に、気温が高くなり、水温が30℃を越える場合には気をつける必要があります。

Q.足腰洗槽は必要か

A.身体に附着している汗、垢、糞便等の汚れや、目に見えない病原性細菌が持ち込まれると、いろいろな病気をおこす原因になります。シャワーや足腰洗槽で身体に附着した汚れを洗い落とし、殺菌消毒することで、この汚れを事前に防ぐことができます。 足腰洗槽の残留塩素濃度は50〜100ppmです。排水は、必ず中和してから行うようにして下さい。(水田や河川の魚介類に対する薬害のもとになります。)

Q.遊泳中、目がチカチカする

A.PHを測定して下さい。
  • アルカリ性の時は、うすい酸で調整して下さい。
  • PHに異常がない時は、残留塩素濃度が高すぎないか調べて調整して下さい。
  • 残留塩素も高くない時は、水が濁っている(浮遊物がある)ことがあるので充分にろ過して下さい。

Q.水がぬるぬるしている

A.PHを測定して下さい。PHが高い時は、うすい酸で調整して下さい。

Q.プールが臭う

A.藻が原因の場合が多いですが、水が古くなっている可能性も考えられます。 その場合は“アンモニア性窒素”、“亜硝酸性窒素”等を分析するか、過マンガン酸カリ消費量をチェックして下さい。水が古くなっている場合はこれらの分析値が高くなるので一部換水して下さい。

Q.水が濁っている

A.PHを測定して下さい。
  • PHが高い時(アルカリ性の時)はうすい酸で調整して下さい。
  • PHが低い時(酸性の時)はソーダ灰で調整して下さい。
  • PHに異常がない時は人が持ち込んだゴミや消毒に使用された薬剤(次亜塩素酸カルシウム)に含まれているカルシウムが、炭酸ガス、硫酸イオン(硫酸バンドから出る)と反応して炭酸カルシウムや石膏等の不溶解物となり、濁りの原因になっている場合があります。 ろ過装置に異常がないか確認した後に凝集剤(硫酸バンド等)を用いて浮遊物を集め、フルにろ過機を運転して下さい。