英語を使う能力を高めたいと思い、留学しました。大学で中国語を学び、東アジアや東南アジアの文化に興味がわいたことから、フィリピンに短期留学することにしました。
所属している大学の短期海外留学制度を利用しました。大学の提携校から留学先を選んだため、所定のコースに参加することによって単位認定を受けることができました。留学先への申し込みや滞在先の確保、航空券の手配などの手続きから自分で行います。留学先ではレベル分けテストによって決められた、リーディング、ライティング、スピーキングの3種類のクラスを受講しました。
留学は、自分の人と向き合う姿勢に変化をもたらしてくれました。日常の中に色濃く宗教がある人、屋台で生計を立てている人、路上で生活している人、大学進学のために勉強している人、子どもと花を売っている人、気さくに話しかけてくれる人、打ち解けるまで時間がかかる人……留学して多様な人に出会い、一人ひとりの人にそれぞれ違う思いや物語があると強く意識するようになりました。自分の「いつも」と違う土地にいることで、出会う人との間に共通点を探して安心するだけでなく、「自分と相手は違うかもしれない」と自然に考えることができるようになったと思います。
留学すると、出身国や母語について尋ねたり、尋ねられたりする場面があります。互いが互いに「当たり前」の話をしているのに、反応は共感だったり驚きだったり、笑いだったり疑問だったり、様々でした。留学を経て、今まで自分が過ごしてきたどの場所も「世界の一部」だったということに気づきました。どの国に住んでも、どのことばを使っても、人が違えば共通するところも異なるところもある。自分と他者の間には必ず異文化が横たわっています。同じように見えるからといって全く同じと捉えるべきでもなく、違うように見えるからといって反射的に拒むわけでもなく、一人ひとりの背景に目を向けながら、「その人」を「その人」として知りたいと考えるようになりました。それと同時に、自分とはどういう人なのか、どのような文化をもち、どういうふうにことばを使うのか、常に見つめていたいと思っています。
留学の魅力のひとつに、自分と世界の間に新しいつながりができるということがあります。学校での学びが、訪れた土地や出会った人とのふれあいが、自分の新たな一面の発見が、普段と異なった生活が、今まで見えていなかった自分と世界のつながりに気づかせてくれるでしょう。高校生のうちに、このようなつながりを得られるのは貴重なことです。語学力や慣れない場所での生活への不安や、留学した先で自分にがっかりすることがあるかもしれません。そうだとしても、うまくいったことも、思い通りにならなかったことも、予想外の出来事も、いつかの自分の糧にすることができれば。留学はきっと自分の成長の大きな一歩になると思います。