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とくしま歴史文化総合学習館(徳島県立埋蔵文化財総合センター)

レキシルとくしま

「徳島県矢野遺跡出土品」を重要文化財に指定

平成31年3月18日(月)に開催された国の文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、「徳島県矢野遺跡出土品」を重要文化財に指定することについて、文部科学大臣に答申されました。

徳島県矢野遺跡出土品の内容
徳島県矢野遺跡出土品は縄文時代後期初頭を中心とした集落跡と隣接する河川跡から出土した一括資料です。土面・土器・石器で構成され、約4,000年前の徳島の人々の生活を考えることができる豊富な内容をもっています。
縄文時代の土面は日本列島で150点ほど出土していますが、矢野遺跡の土面はそのなかで最も古く、最も西の出土例です。土面は、マツリなど特別な場面で顔に当てて使用されたものと考えられています。
土器の形には、深鉢・鉢・浅鉢・壺があり、表面のさまざまな文様はまさに芸術的です。こうした土器の特徴は、縄文時代の時期区分や文化の交流を考えるうえで重要な手がかりとなります。土器のなかには、赤い顔料で彩られたものがあり、分析の結果、ベンガラ(酸化鉄)に加えて水銀朱が使用されていることがわかりました。水銀朱もまた日本列島最古級の使用例として注目されます。
次に石器をみると、石鏃・石槍・石鍬・石錘などの食糧獲得の道具や、磨石・敲石・石皿など食物加工用具がそろい、集落内の生業が多岐にわたっていたことを物語っています。なかでも出土石器の半数を占める、さまざまな大きさの石錘は漁網などに使用されたと考えられます。
このほか興味深い出土品として、土製耳飾・亀形土製品・円柱状土製品・石棒があり、当時の精神生活や文化交流をうかがうこともできます。
このように、徳島県矢野遺跡出土品は,列島最古級の土面や水銀朱使用例を含む、縄文時代後期初めの生活を知る資料として貴重であり、このたび、西日本を代表する大規模な縄文時代の出土品として、その学術的価値が極めて高いと評価され、国の重要文化財に指定されることになりました。

写真
縄文土器
仮面
土製仮面
土器
赤色顔料が塗られた土器
石器類
石器

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