〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
- 電話番号:
- 088-621-2500(代表)
- 法人番号:
- 4000020360007
ロボットや情報通信などの先端技術を活用することで、作業の省力化や生産物の高品質化を実現する「スマート農業」。生産者の高齢化や担い手不足が進行する中、これまでの農業のイメージを変え、新たな未来を切り拓く有力な手段として注目されています。すでに県内のJAなどでもスマート農業への取り組みが始められており、耕作放棄地の解消や省力化など、少しずつ成果が見え始めています。
県では昨年、施設園芸のエキスパートを育てる「施設園芸アカデミー」を開講。さらに今年は、自治体として全国に先駆けて「ローカル5G基地局」を農林水産総合技術支援センターに開局し、高速大容量のネットワークを活用した実証実験を農業分野でもスタートさせました。今後もスマート農業のさらなる普及に向け、技術開発や担い手の育成、機器の導入支援などを行っていきますので、ご期待ください。
JA美馬 田中 浩司(たなか こうじ)さん
高齢化や後継者不足により、遊休農地が増加傾向にあったJA美馬では、平成18年に「アグリサポート美馬」を設立しました。
「中山間地域で農地が点在しているため維持管理が難しく、専業農家による一括管理も厳しい状況にありました。農家からの要請もあり、農作業の受委託を行う組織が必要となったのです」とJA美馬の田中さんは振り返ります。
アグリサポート美馬の設立から約15年が経ち、農家へのサポート内容はさらに拡大。農業経営の受委託だけでなく、維持管理ができなくなった農地をまるごと借受け、農業経営を代行するサービスも始めました。
「すでに600を超える農地を借受けていますが、すべての農地の場所や作業内容をスタッフ一人ひとりが把握し、多くの経験を必要とする農作業を季節ごとに行うのは非常に難しいこと。そこで取り入れたのがスマート農業です」
県の協力も得て、タブレットの画面に管理する農地の場所や作業の進捗状況などを表示できる農地管理システムをはじめ、自動走行するロボットトラクターや、収穫時に品質や収量をデータ化するコンバインなども導入。農作業の省力化や大規模化につなげるとともに、若手にも取り組みやすい作業環境を実現しています。
「今後は農作業の支援だけではなく、スマート農業の普及にも力を入れたい。若い世代が地域の農業を支え、私たちと共に地域を盛り上げていくことが理想だと思います」と田中さんは未来への抱負を話してくれました。
トマト農家 尾田 正和(おだ まさかず)さん
会社員だった尾田さんが、祖父の代から続く実家のトマト農家への転職を果たしたのは約10年前のこと。農業を始めてから数年後に“環境制御技術”という言葉に出会ったと言います。
「それまでのトマト栽培は、長年の経験や勘がモノを言う時代でした。水のやり方一つをとっても、その日の天気や温度を肌で感じて決めるという感じ。それに比べ、データに基づいて水や肥料の量やタイミングを自動管理できる環境制御技術は、若手だった自分にとってもすごく魅力的なものでした」
尾田さんが施設栽培に環境制御技術を取り入れてから約7年が経ち、トマトの収量は当時と比べて約30%アップ。その成果は確実に現れていると言います。
「3代目として父から事業を継承するにあたり、一人前になるためのステップとして選んだのが施設園芸アカデミーの受講でした」
施設園芸アカデミーは、昨年7月に農業大学校が民間企業と連携して開講。施設栽培における環境制御技術を駆使する人材の育成を目的としています。
「現場研修や座学を通じ、高収量・高品質を実現するための知識を1年間にわたって学べるのは本当に大きいですね。参加者たちの環境制御データを持ち寄り、専門家の解説を受けながら、それぞれの良い部分を吸収できるのも他にはない魅力です」
この講座を通じて出会った生産者との横のつながりを大切にしながら、さらなるレベルアップにつなげていきたいと意気込む尾田さん。スマート農業への挑戦は、これからも続きます。
県では、日々進化する通信技術・農業機器を活用した栽培の研究や先端技術を駆使する人材の育成などを推進。スマート農業の実現に向けた取り組みを加速させています。
農業における5Gの活用
農林水産総合技術支援センターに「ローカル5G基地局」開局(R3.4.8)
5Gとは
●農業大学校へのスマート技術導入
●スマート技術の開発
※今年度の受講生募集は終了。次年度の募集は令和4年4月頃の予定です。
施設園芸における環境モニタリングや植物生理に基づく環境制御技術の基礎を座学で学ぶ。
施設トマト栽培において、高収量、高品質を実現する環境制御技術について現場研修と座学で学ぶ。