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特集1:「藍のふるさと阿波」日本遺産認定「至高の青」阿波藍の新たな歴史がはじまる。【令和元年7月号】

阿波藍の伝統文化が日本遺産に認定

 古くから日本人の生活に深くかかわり、神秘的なブルーといわれた藍。徳島が誇る「阿波藍」は、日本の代表色として世界から評価されるジャパンブルー(藍色)の歴史を支え続けてきました。東京2020オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムにも藍色が採用されるなど国内外で関心が高まる中、今年5月には吉野川流域9市町(徳島市・吉野川市・阿波市・美馬市・石井町・北島町・藍住町・板野町・上板町)が申請した「藍のふるさと 阿波~日本中を染め上げた至高の青を訪ねて~」が、文化庁の日本遺産に認定されるなど、その注目度はますます高まりを見せています。

阿波藍の魅力を全国、そして世界へ

 本県では7月24日を「とくしま藍の日」、7月を「とくしま藍推進月間」、藍色を「徳島県の色」と定める「とくしま藍の日及び徳島県の色を定める条例」に基づき、県を挙げて阿波藍の振興や魅力発信への取組みを展開中。昨年には、阿波藍とLEDの魅力や応用製品を首都圏で発信する「東京常設展示場」のリニューアルオープンや、パリで行われた「ジャポニスム2018」での講演会をはじめ、今年2月には 「藍サミット2019in徳島」を開催するなど 藍文化の継承や藍産業の振興を加速させています。ぜひ皆さんも伝統文化としての阿波藍の魅力を再発見し、さらなる発展を応援してください。


「阿波藍」とは

徳島で製造される天然染料のもととなる「すくも」のこと。藍師と呼ばれる職人が昔ながらの技法を用い、タデ科の植物である藍の乾燥葉を発酵させて作る。阿波藍の製造には1年近い時間を要する。
 

先人たちが守り続ける心と技を次世代へ。

天然染料のもととなる「すくも」を用い、天然灰汁発酵建(てんねんあくはっこうだ)てと呼ばれる伝統的な手法で作った染め液により、優れた作品を世に送り出す染師(そめし)たち。卓越した心と技で活躍する二人の染師に、阿波藍の魅力や可能性についてお話を伺いました。

■日本遺産認定をチャンスに。

紺屋古庄 六代目 古庄 紀治 (ふるしょう としはる)さん

紺屋古庄 六代目 古庄 紀治 さん
●「外国からも多くの方々が藍染め体験に訪れています」と古庄さん。

日本中を藍色に包んだ阿波藍の歴史

 阿波藍が全国市場に進出し、徳島の経済や文化に豊かさをもたらすようになったのは江戸時代のことでした。吉野川流域に残る豪農屋敷やうだつの町並みが、当時の繁栄を物語っています。

 「阿波25万石の時代に、藍はその倍となる50万石の利益を生み出していました。県外には阿波藍商人の名前が刻まれた神社が残っています」と話すのは、家業を継いで6代目の染師となった古庄紀治さんです。明治初期に始まった注染という染色技法によって藍染めを行っており、その巧みな技術は県の無形文化財に指定されています。

 「表面に色を付着させる顔料のような使い方だけでなく、生地の中まで浸透させる染料としての染めができるのも、すくもの成分を活かした阿波藍の特徴です」 自ら手掛けた型彫りの美しい模様をもとに、繊細で美しい藍染め作品を生み出し続けています。

布の両面から美しい模様が浮き出る注染の特長。
●布の両面から美しい模様が浮き出るのも注染の特長。

藍農家の存在にもスポットライトを

 「阿波藍が日本遺産に認定されたことは、徳島にとって大きなチャンスです。国内外の方はもちろん、まずは県民の方々にその魅力を知っていただければ」と古庄さん。現在は藍魅力創造発信プロジェクト組合化準備組合の理事長として、本組織化に向けて尽力しています。

 「藍師や染師だけでなく、今後は藍農家の方々にもスポットライトが当たるようになれば。彼らの手作業によって丁寧に作られた藍の葉があるからこそ、阿波藍のさらなる発展が可能になるのですから」

 小松島西高校の生徒たちを対象にした藍染の授業や、自らの工房での見学の受け入れなど、阿波藍の魅力を発信し続ける古庄さん。「阿波藍を理屈で捉えるのではなく、まずは染め液の手触りや匂いなどを五感で感じてほしい。そこで感じた魅力を身近な人に伝えていただければ」と笑顔で話してくれました。

藍染めの原料となる「すくも」が作られる藍師の作業場。
●藍染めの原料となる「すくも」が作られる藍師の作業場。
収穫を待つタデアイ。
●収穫を待つタデアイ。ジャパンブルーはこの植物から始まります。

■本物の価値を世界に広げたい。

本藍染矢野工場 矢野 藍秀(やの らんしゅう) さん

「本場の技を、一人でも多くの人に伝えられれば」と矢野さん。
●「本場の技を、一人でも多くの人に伝えられれば」と矢野さん。

阿波藍を守り伝えた人々の思いを背負って

 ”藍染め”と一言で言っても、その色彩は実に多彩です。一番薄い色とされる甕覗き(かめのぞき)に始まり、縹色(はなだいろ)や藍色(あいいろ)、一番濃い勝色(かちいろ)など、熟練の染師の手によって多様な色彩美が染め出されます。

 矢野藍秀さんは、武士が着用したといわれる縁起の良い”勝色”にこだわる染師の一人。大谷焼の藍甕を使い、 天然灰汁発酵建てと呼ばれる昔ながらの技法によって、阿波藍から染め液を作り出しています。

 「江戸時代に繁栄した阿波藍は、明治時代にドイツから輸入された化学染料によって一気に衰退しました。戦時中は藍の栽培が禁止されたのですが、一部の藍師が山中で密かに栽培を続け、代々受け継がれてきた伝統を必死に守ったのです」と矢野さん。そんな志を受け継ぎながら作られた阿波藍を使うからには、自分たち染師にも相当のこだわりと覚悟が必要だと話します。

「天然灰汁発酵建て」という伝統技法によって作られた染液。
●「天然灰汁発酵建て」という伝統技法によって作られた染液。

「本物は徳島にある」という信頼づくりを

 染師にとって重要な仕事の一つが染め液の管理です。一日おきに使用する瓶を変え、温度や発酵の状態などを管理しなければなりません。

 「昔ながらの製法を守り続けるためには、藍を中心にした生活が必要になります。一年中休みはありませんが、それが私の生きがいなんです」

 不況の時代には一時的に需要が下がった阿波藍も、今は供給が追いついていない状況だと矢野さん。阿波藍を使った製品づくりを全国的に広めるためにも、安定した収入の確保や担い手の育成などによる生産増強が不可欠だと言います。

 「同時に、消費者が阿波藍を使った質の高い商品を選べるようブランド化を図る必要があります。全国の方々に『徳島に行けば本物がある!』と思っていただけるよう横のつながりを強化しながら頑張っていければ。オリンピックに向けての販路拡大も重要ですが、大きなイベントが終わった後が真の正念場だと思っていますから」と矢野さんは決意を語ってくれました。

●藍師の思いが詰まった「すくも」を手に。

「とくしま藍の日」記念フォーラム

  • とき7月24日(水曜日)13:30~16:00

藍の展示販売会

  • とき8月10日(土曜日)~15日(木曜日)

詳しくは次のリンク先へアクセスしてください。

阿波藍 | 公益社団法人徳島県物産協会公式ホームページ あるでよ徳島(外部サイト、別ウィンドウで開く)