徳島県読書バリアフリー推進計画 令和3年7月 徳島県教育委員会 目    次 第1章 計画策定にあたって 1 計画の位置づけ 2 他の計画との関係 3 計画の対象者 4 計画の推進・評価 (1)計画期間 (2)推進体制 (3)計画の周知 (4)評価 第2章 視覚障がい者等の読書に係る現状 1 法律及び施策について 2 視覚障がい者等が利用しやすい書籍について(アクセシブルな書籍・電子書籍等) 3 視覚障がい者等の読書を支援する体制について 第3章 計画の基本方針 1 計画の基本的な考え方 2 施策の基本的な方向 第4章 施策の方向性 1 アクセシブルな書籍等の充実及び製作人材の育成・確保 2 アクセシブルな書籍等の入手及び利用のための支援 3 読書を支援する環境の充実と人材の養成 資料 読書に係るサービスの情報入手先 徳島県読書バリアフリー推進協議会設置要綱 徳島県読書バリアフリー推進協議会委員名簿 徳島県読書活動の推進に関する条例 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法) 第1章 計画策定にあたって 1 計画の位置づけ 本計画は、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下「読書バリアフリー法」という。)第8条に基づき、徳島県における「視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する計画」として策定するものです。 本県において「読書バリアフリー法」の理念を具現化するとともに、デジタル化の進展をはじめとする社会の変革に対応し、視覚障がい者等への支援施策の一層の充実強化を図るため、このたび、法第8条第2項に基づき新たに設置した「徳島県読書バリアフリー推進協議会」での協議・提言等をはじめ、広く県民からお聞きした御意見を反映し、徳島県教育委員会において「徳島県読書バリアフリー推進計画」を策定いたします。 本計画のもと、視覚障がい者等の読書バリアフリー環境を実現する施策を推進し、障がい者の社会参画の更なる推進と、共生社会の実現を目指します。 2 他の計画との関係 本計画は、「徳島県子どもの読書活動推進計画[第四次推進計画]」(令和元年10月策定)及び「徳島県障がい者施策基本計画〈中間見直し版〉」(令和3年3月策定)における基本理念や方針と連携、整合を図り、視覚障がい者等の読書バリアフリー環境を実現するための具体的な事項を定めるものです。 3 計画の対象者 本計画は、読書や図書館利用に困難のある視覚障がい者、発達障がい者、知的障がい者、寝たきりや上肢に障がいがある等の理由により書籍を持つことやページをめくることが難しい、あるいは眼球使用が困難である身体障がい者(以下「視覚障がい者等」という。)を対象とします。 なお、「書籍」には、雑誌、新聞、その他の刊行物も含みます。 また、ロービジョン※1など障がい者手帳の所持の有無は問いません。 ※1 ロービジョン 何らかの原因により視覚に障がいを受け「見えにくい」「まぶしい」「見える範囲が狭くて歩きにくい」など、日常生活での不自由さをきたしている状態をいいます。 4 計画の推進・評価 (1)計画期間 本計画の期間は、令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)の5年間とします。 (2)推進体制 本計画に基づき、市町村関係部局や福祉・障がい者関係団体、図書館、ボランティア等と連携・協働し、視覚障がい者等の読書バリアフリー環境を実現するための施策を推進します。 (3)計画の周知 本計画や支援施策の周知を図るため、県のホームページやSNS等で情報発信を行います。周知にあたっては、わかりやすい内容となるよう工夫するとともに、点字版や音声読み上げに対応したテキストデータを作成し、関係機関と連携して、広く周知を図ります。 (4)評価 視覚障がい者等のニーズや、国及び本県の障がい者施策の動向に迅速に対応するため、毎年度、各施策の進捗状況について把握、評価し、必要に応じて施策の見直しを行います。 また、今後、国から具体的な目標や達成時期等が示された場合も、必要な見直しを行います。 第2章 視覚障がい者等の読書に係る現状 1 法律及び施策について (1)国の状況 平成25年に、障がい者の著作物利用を促進するための「マラケシュ条約※2」が世界知的所有権機関において採択され、また、平成30年の著作権法改正に伴い、「障がい者の読書環境のさらなる充実が必要」との気運が高まったことを受けて、国において、令和元年6月に「読書バリアフリー法」が施行され、令和2年7月には、同法に基づき「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下「読書バリアフリー基本計画」という。)」が策定されました。 「読書バリアフリー法」は、障がいの有無に関わらず、全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現を目的としており、「読書バリアフリー基本計画」において、基本的な方針や、国が総合的・計画的に講ずべき施策、その他の必要な事項が定められました。 ※2 マラケシュ条約 正式名称は「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」といいます。本条約の締結国間で、視覚障がい者等が利用しやすい様式の複製物を国境を越えて交換することを可能としました。 (2)本県の状況 徳島県では、昭和39年から点字図書館を設置し、視覚障がい者への情報提供に取り組んでおり、現在は「視聴覚障がい者支援センター※3」において、点字・録音図書などを製作し、利用者へ貸出を行うとともに、点訳・音訳に携わる人材の育成、障がい者への読書支援機器の紹介や使い方の訓練など、障がい者の読書環境の向上に取り組んできました。 県立図書館の障がい者サービスは、平成2年11月の新館開館とともに本格的にスタートしました。大活字本やデイジー図書といった多様な資料の収集や、来館が困難な障がい者への郵送貸出サービスなど、障がいの有無に関わらず、県民が読書活動を行えるよう取り組んできました。 平成29年には、県議会からの提案により「徳島県読書活動の推進に関する条例」が制定されるとともに、令和元年には第4次となる「徳島県子どもの読書活動推進計画」を策定し、障がい者の読書活動を支援する人材の育成に向け、高校生や県内読書ボランティアの参加による読み聞かせ講習会や特別支援学校での実践会の開催、小中学校図書館の運営を支援する図書館サポーターの養成等、誰もが本や文字に触れることができる施策の充実に取り組んできました。 ※3 視聴覚障がい者支援センター 目や耳が不自由な方の情報提供施設として平成18年に開設されました。徳島県立障がい者交流プラザ内(所在地:徳島市南矢三町2丁目1−59)にあり、点字図書館や情報機器訓練施設を備えています。 2 視覚障がい者等が利用しやすい書籍について(アクセシブルな書籍・電子書籍等) 視覚障がい者等が利用しやすい書籍として、点字図書、録音図書、拡大図書、触る絵本、布の絵本、L.L.ブック等(以下「アクセシブルな書籍」という。)や、デイジー図書(音声デイジー・マルチメディアデイジー・テキストデイジー)、オーディオブック、テキストデータ、音声読み上げ対応の電子書籍等(以下「アクセシブルな電子書籍等」という。)など、さまざまな本があります。 これらのアクセシブルな書籍及びアクセシブルな電子書籍等(以下「アクセシブルな書籍等」という。)について、本県の点字図書館や県立図書館等を中心に、利用者のニーズに対応できるよう、所蔵する書籍の拡充を進めています。 アクセシブルな書籍の説明 点字図書 点訳された本。かつては点字盤を使った手打ちで製作していたが、近年の点字図書製作においてはパソコン点訳が主流。 録音図書 録音された本。かつてはカセットテープに録音したアナログ録音図書であったが、現在はデイジー図書等のデジタル録音図書が主流。 デイジー図書 デジタル録音図書。デイジー(DAISY)とは、「Digital Accessible Information System」の略で、視覚障がいなどで活字の読みが困難な人のために製作される、デジタル図書の国際標準規格。CD1枚に50時間以上の録音ができ、章や見出し、ページごとに聞きたい場所へ移動できる機能がある。音声の速さも変えることができる。 音声デイジー 図書や雑誌の内容を録音して音声にしたもの。図や写真の説明も入っている。 マルチメディアデイジー 音声と一緒に、文字や画像が表示される。表記された文を音声で聞きながら、画面上で絵や写真を見ることができる。読み上げているフレーズの色が変わるハイライト機能があり、どこを読んでいるのかが一目でわかる。また、自分が読みやすいように、文字の大きさ、音声のスピード、文字や背景の色を選ぶことができ、発達障がい者や上肢障がい者等、様々な人が利用できる。 テキストデイジー 文字や画像が表示されるデジタル図書。音声データは入っていないが、デイジー再生機等の音声合成機能でテキストを読み上げて聴くこともできる。ハイライト機能もある。 拡大図書(大活字本) 目の見えにくい方が読みやすいよう大きな文字で書かれた本。 触る絵本 指で読むために作られた絵本。すでに出版されている絵本の変形版で、文字の所には点字を、絵の部分は樹脂インクで凸状にしたり、布や毛糸などを貼り付けたりして、立体的に分かる工夫が施されている。 布の絵本 本全体が布で作られた絵本。絵の部分に切り抜いたフエルトを縫い付け、マジックテープやスナップ、ボタン、ファスナー、ひもで、留めたり外したりできるようにし、文の部分を手書きした、絵本と遊具の性質を兼ね備えた本。  L.L.ブック 「L.L.」とはスウェーデン語の「分かりやすく・読みやすい」を略したもの。ふりがな、大きな絵や写真、短い文章を使うなど、理解しやすい工夫をした本。 オーディオブック(録音CD) 声優等が書籍を朗読し、録音した「耳で聴く書籍」。 テキストデータ 何の装飾もない文字だけのデータ。音声読み上げソフトを使って音声にして本を読むことが可能になる。 電子書籍 近年市場で普及し始めている書籍で、パソコン・スマートフォン・専用機器を使って目次から読みたいページに移動したり、文字の大きさ・色・フォント・背景の色を変えることができたりする。視覚障がい者等が利用しやすい音声読み上げ対応の書籍もある。 3 視覚障がい者等の読書を支援する体制について (1)視聴覚障がい者支援センターや公立図書館等における支援の状況 視覚障がい者等がアクセシブルな書籍等を入手するために、主に利用しているのが視聴覚障がい者支援センターと公立図書館です。 視聴覚障がい者支援センターでは、センター内に設置されている点字図書館において、点字図書、録音図書等の製作、貸出・郵送サービス、個人のニーズに応じた点訳・音訳サービス、対面音訳サービス等を行っています。また、センターでは、中途視覚障がい者等への点字訓練、パソコン等の情報機器訓練のほか、読書支援機器である拡大読書器、音声拡大読書器、デイジー図書再生機等の展示・体験もできるように整備されています。 また、県立図書館では、大活字本、デイジー図書、L.L.ブック、オーディオブック等の提供、郵送貸出サービス、拡大読書器やデイジー図書再生機等の読書支援機器の設置、音声読み上げ対応の電子書籍の提供を行っています。 さらに、市町村立図書館においても、大活字本やオーディオブック、バリアフリー対応DVDの貸出、読書支援機器の設置、対面朗読、バリアフリー上映会の開催や、障がい福祉サービス事業所等と連携した図書館利用の支援を行っています。 今後とも、各施設において、利用者のニーズに対応した障がい者サービスの一層の充実が望まれます。 (2)サピエ図書館について サピエ図書館とは、視覚障がい者等の活字による読書に困難のある人が利用できる、インターネット図書館です。着実に増加している点字や音声などの40万件以上の図書データを直接利用できるだけでなく、全国400以上の図書館が所蔵する80万件に及ぶ点字・録音図書目録も利用して、パソコンや専用機器、スマートフォンを使って読書をすることができます。本県においても、直接、間接的に利用され、近年は音声デイジーをはじめとするデジタル録音図書のニーズが非常に高くなっています。 (3)国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスについて 国立国会図書館や全国の公共図書館や大学図書館などが製作した約3万点のデイジー図書・テキストデータ・点字データ等をインターネット経由で利用することができます。 (4)点訳・音訳図書等の製作 徳島県における点訳・音訳図書の製作は、視聴覚障がい者支援センターが運営する点字図書館及び登録ボランティアが担っています。 良質な書籍を提供するため、講習を受けて製作のスキルを身につけ、点訳においては、選書・読みの調査・点訳・校正・修正を、また、音訳図書においては、選書・読みの調査・音訳・デイジー編集・校正・修正といった一連の作業を行っており、いずれも時間と集中力を要します。 近年、製作人材の確保が難しくなっていることから、今後は若年者の人材確保・育成や、継続して活動を行うことができる体制づくりとともに、点字図書館のノウハウを活かし、多様な関係者の参加による支援体制の拡大につなげていくことが必要です。 (5)ICTスキル習得の支援 視覚障がい者等が読書支援機器やICTを利活用できる環境を充実させるため、視聴覚障がい者支援センターではパソコン等の情報機器訓練を行っていますが、中途視覚障がい者や上肢障がい者、発達障がい者へのICTスキル習得を支援する人材が今後ますます必要となってきます。 第3章 計画の基本方針 1 計画の基本的な考え方 読書は、障がいの有無に関わらず、一生涯にわたって、県民の皆様の学びや成長を支え、教育や就労を実現する重要な活動です。特に、学校教育段階においては、教科書以外にも、副読本、参考書、資料集、学術論文等が学習活動の支えとなっています。また、高等学校や大学、職業教育機関への進学のほか、資格取得や就職活動等のあらゆる段階において、書籍を通じて専門的知識を得ることが不可欠です。さらに、読書は人生を豊かにする重要な文化活動であり、成人期、高齢期に至るまで、全ての人が等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境整備が望まれています。 一方で、国の「読書バリアフリー基本計画」において指摘されているように、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等の数がニーズに対して不足していることに加え、これら書籍等の製作に協力する人材の確保が難しくなってきており、今後の継続的な供給体制に課題があります。また、サピエ図書館や国立国会図書館を含む、各図書館が所有する様々な形態のアクセシブルな書籍等について、関係機関・団体間で十分に情報共有されていないため、点字図書館と公立図書館等と連携を図り、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等について周知を行い、十分かつ円滑な利用を促進する必要があります。さらに近年では、電子書籍等が市場で普及しつつありますが、音声読み上げに対応した電子書籍はいまだ少ないのが現状です。視覚障がい者等にとってアクセシブルな書籍等を充実させ、利用しやすい環境を整えていくことが必要です。 また、障がいの特性及び程度によって、利用しやすい書籍等の形態及び利用方法は異なるとともに、読書や図書館利用の困難さも様々です。文字が見えにくいために図書館で本を探すことが困難な人や、発達障がいや知的障がい等により、本を探して返却するまでの手順に困難があったり、困ったときに助けを求めたりしづらい人は、図書館に行くことや読書をすることをあきらめてしまうケースがあります。ALS(筋萎縮性側索硬化症)のように、文字を読むことはできるものの、本を持ったりページをめくったりすることができない人や、コミュニケーションに困難があり、読書したいことを伝えられていないケースもあります。 障がい者自身による読書の実現を図るため、読書支援機器やサピエ図書館等の利用促進が重要となりますが、様々な支援機器の特徴や障がい特性への適応事例について、周知・情報共有が十分でなかったり、障がいの重度・重複化、高齢化等により、ICT機器の入手や使用が難しい人も多くなっています。 本計画は、これらの背景を踏まえ、多様な関係者が連携して「読書バリアフリー」をハード・ソフト両面から推進することにより、障がいの有無に関わらず、全ての県民が等しく読書や活字に触れることができる環境の実現を目指すとともに、それを支えるサポート人材の養成や確保を図るため、「徳島県読書活動の推進に関する条例」との調和を図りながら、必要な方策について示すものとします。 2 施策の基本的な方向 (1)アクセシブルな書籍等の充実及び製作人材の育成・確保 障がいの特性や程度に応じた、様々な分野のアクセシブルな書籍等の充実を図るとともに、関係者の連携体制を構築し、製作人材の育成・確保を図ります。 (2)アクセシブルな書籍等の入手及び利用のための支援 視覚障がい者等が、アクセシブルな書籍等をいつでもどこからでも入手できるよう、サービスの周知や、読書支援機器の入手及び利用方法習得のための支援体制を整備します。 (3)読書を支援する環境の充実と人材の養成 視覚障がい者等が図書館を円滑に利用するための環境づくりを促進するとともに、利用を支援する関係者の養成・資質向上、共生社会実現の気運醸成を図ります。 第4章 施策の方向性 1 アクセシブルな書籍等の充実及び製作人材の育成・確保 〈基本的な考え方〉 障がいの特性や程度によって利用可能な本の形態は異なるため、様々な障がいに対応したアクセシブルな書籍等の量的拡充・質の向上を図ります。 また、個人の学びや成長を支え、教育活動・就職活動・職業生活等の人生のあらゆる段階において、書籍を通じて情報を入手し、専門的知識が得られるよう、多様な分野のアクセシブルな書籍等の充実を図ります。 さらに、視覚障がい者等のニーズに応じた書籍の製作が継続的にできるための環境整備を進めるとともに、製作人材の育成・確保に努めます。 〈具体的な施策〉 (1)アクセシブルな書籍等の充実及び連携体制の構築 ・点字図書館、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館、学校図書館等において、各々の役割に応じ、アクセシブルな書籍等の充実に努めるとともに、県内どこからでも必要な書籍が入手できるよう、相互貸借等の仕組みづくりをより一層進めます。 ・点字図書館等が今まで培ってきたノウハウを生かし、引き続き障がいの特性及び程度、また視覚障がい者等のニーズに応じたアクセシブルな書籍等が充実するよう、点字図書館等による製作の支援を行います。 (2)製作人材の育成・確保及び製作環境の整備 ・高校生等への点訳・音訳講習会の開催や、製作体験などを行い,若年者の製作人材の育成を図ります。 ・地域における製作人材の募集・育成や継続的な活動のための方策、また、出版社等のデジタルデータ提供の動向や技術の進歩に応じた多様な関係者による効率的な製作体制について、検討を行います。 ・視覚障がい者等や各特別支援学校のニーズに応じた書籍の製作を行うため、公立図書館・点字図書館及びボランティア団体等が連携し、その製作を行う者に対し、製作の手順や製作された書籍等に関する情報を共有し、製作の効率化を図ります。 ・点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の充実及び質の向上を図るため、製作手順や仕様の基準についてサピエ図書館を運営する者※4と情報交換を行い、製作を行う者への製作手順の共有を図ります。 ※4 サピエ図書館を運営する者 日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営を行っています。 注意書き 著作権法第37条第3項において、視覚障がい者等の福祉に関する事業を行う者で、政令で定めるものが、視覚障がい者等のためにアクセシブルな書籍等の製作等を行うことができる旨が規定されています。 (1)障がい者施設や図書館等の公共施設の設置者、一定の要件を満たすボランティア団体等 (2)文化庁長官が個別に指定する者 製作に取り組む際は、これらの指定する者の監修のもとで行う必要があります。 成果指標 ・点字図書館のアクセシブルな書籍等の所蔵数 令和2年度現在 21,834タイトル 令和7年度目標 22,834タイトル ・点字図書館のアクセシブルな書籍等の年間貸出数 令和2年度現在 7,175タイトル 令和7年度目標 7,200タイトル ・点字図書館のアクセシブルな書籍等のサピエ図書館への年間アップロード数 令和2年度現在 95 令和7年度目標 100 ・県立図書館のデイジー図書・マルチメディアデイジー図書の所蔵数 令和2年度現在 464タイトル 令和7年度目標 565タイトル ・県立図書館のデイジー図書・マルチメディアデイジー図書の年間貸出数 令和2年度現在 20タイトル 令和7年度目標 40タイトル ・県立図書館の音声読み上げ対応電子書籍 令和2年度 333タイトル 令和7年度目標 433タイトル ・点訳・音訳奉仕員の年間養成者数 令和2年度現在 20 令和7年度目標 30 ・高校生の点訳・音訳講習会及び製作体験参加者数 令和2年度現在 0 令和7年度目標 累計 100 2 アクセシブルな書籍等の入手及び利用のための支援 〈基本的な考え方〉 視覚障がい者等が、アクセシブルな書籍等をいつでもどこからでも入手できるよう、サピエ図書館等のサービスの周知を図るとともに、その利用に係る読書支援機器及び端末機器の入手や、利用方法の習得を支援するため、図書館関係者、ICT関係者、福祉部局等の連携体制を強化します。 〈具体的な施策〉 (1)アクセシブルな書籍等の入手支援 ・国立国会図書館の視覚障がい者等用データ送信サービスや、サピエ図書館の十分な活用を促進するため、視覚障がい者だけでなく視覚による表現の認識の困難な者も利用できることも含め、図書館関係者や福祉部局等と連携し、研修会の開催やリーフレットの作成等を通じて、これらサービスの周知を図ります。 ・学校におけるICT環境整備が進められていることも合わせ、視覚障がい等のある児童生徒がアクセシブルな書籍等を活用できるよう、教職員への研修の機会を設けるなどして周知を図ります。また、一人一台端末を活用して、視覚障がい等のある児童生徒がマルチメディアデイジー図書等を利用できるよう、関係機関と連携した取組を進めます。 ・様々な障がいに対応できる新たな読書支援機器について、視覚障がい者等による体験機会の確保や、図書館等関係者の知識の向上を図るため、点字図書館、公立図書館、学校図書館等が連携し、読書支援機器の貸出及び設置促進を図ります。 ・中途視覚障がい者等が読書支援機器を利用できるよう、市町村福祉部局に対し、身体障害者手帳交付時等にこれら支援機器について紹介できるよう、リーフレット等を通して周知に努めます。 (2)ICTスキルの習得支援 ・視覚障がい者等によるアクセシブルな書籍等の利用を促進するため、読書支援機器やパソコン・タブレット・スマートフォン等(以下、「端末機器等」という。)の利用に当たり、必要な支援を受けられるよう、点字図書館と公立図書館等が連携し、次の取組を行います。  @視覚障がい者等に対して、様々な読書媒体の紹介やそれらを利用するための端末機器等に関する情報提供及び端末機器の貸出 Aサピエ図書館及び国立国会図書館のインターネットを利用したサービス等に係る、端末機器等を用いた利用方法に関する相談及び習得支援 B視覚障がい者等が身近な地域において端末機器等の利用に係る講習会等の支援を受けることが可能となるよう、公立図書館等の職員等に対する研修の実施  ・点字図書館及び関係機関・団体と連携し、視覚障がい者等へのパソコン等の情報機器訓練に取り組むとともに、視覚障がい者等のICTスキル習得を支援する人材の養成・確保に取り組みます。 成果指標 ・サピエ会員(個人会員)登録者数 令和2年度現在 111 令和7年度目標 150 ・点字図書館の利用登録者数 令和2年度現在 729 令和7年度目標 850 ・点字図書館のアクセシブルな書籍等を利用するための端末機器の延べ貸出回数 令和2年度現在 8 令和7年度目標 50 3 読書を支援する環境の充実と人材の養成 〈基本的な考え方〉 視覚障がい者等が、自らの興味関心や必要に応じて書籍を選び、読書を楽しむことができるよう、図書館等における円滑な利用のための環境づくりを促進します。 また、生涯を通じた学びの基本となる読書環境の整備を図るため、アクセシブルな書籍等の入手及び図書館利用を支援する人材の養成、資質向上、及び確保に努めます。 さらに、様々な障がいにより読書及び図書館利用に困難が伴うことへの、県民への理解促進、共生社会実現への気運醸成を図ります。 〈具体的な施策〉 (1)図書館等の円滑な利用の促進 ・各館の特性や視覚障がい者等をはじめとする利用者のニーズ等に応じ、バリアフリー化、対面朗読室等の施設の整備、拡大読書器やデイジー図書再生機等の読書支援機器の設置、CDやDVDの試聴コーナーの設置、点字による表示、絵やマークを使った分かりやすい表示、アクセシブルな書籍等を集めたコーナーの設置、動線の工夫、パーテーションの設置、インターネットを活用した情報提供等、各館における障がい者サービスの充実を図ります。 ・点字図書館と公立図書館等とのネットワークを構築し、サピエ図書館との連携を促進するなど、視覚障がい者等が身近にある図書館を円滑に利用し、読書ができるような環境の整備を進めます。 ・読書や図書館利用が困難な児童生徒及び学生の読書環境を保障するため、次の取組を推進します。 @学校図書館を活用した読書支援を充実するため、司書教諭・学校司書及び図書館サポーターの配置を促進するとともに、これら図書館関係者をはじめ、学級担任や通級の担当者、特別支援コーディネーター等の教職員間の連携の重要性を周知するなど、支援体制の整備を図ります。 A特別支援学校・特別支援学級設置校・及び視覚障がい等の児童生徒が在籍する学校に対し、視覚障がい等のある児童生徒が生涯学習の場である図書館利用について学ぶ機会を設けることの重要性を周知するとともに、具体的な利用方法について情報共有を図ります。 B読書や図書館利用が困難な児童生徒が、学校図書館において図書館利用について学ぶ機会や、公立図書館等での利用方法を習得できるよう、点字図書館、公立図書館、学校図書館の連携を図り、支援する取組を進めます。 (2)サポート人材の養成・確保 ・点字図書館及び公立図書館等と連携し、読書及び図書館利用を支援する司書・司書補・司書教諭・学校司書及び職員等の図書館関係者を対象に、様々な障がいへの理解を深めるための研修や、障がい者サービスに関する内容を理解し、支援方法を習得するための研修、及び読書支援機器の使用方法に習熟するための研修等を実施し、資質の向上を図ります。また、ピアサポート※5ができる司書及び職員等の育成や環境整備を行います。 ※5 ピアサポート 同じような立場の人によるサポートのこと。障がい当事者としての経験を活かしてサポートすること。 ・特別支援学校、特別支援学級設置校及び視覚障がい等のある児童生徒が在籍する小中学校への図書館サポーターの配置促進に向け、図書館サポーター養成講座において、視覚障がい者等への読書を支援する方法等を習得する講座を設けます。 (3)県民への理解促進 ・障がい特性により、読書及び図書館利用に困難が伴うことや、様々な読書媒体・読書支援機器を用いた読書方法があるということを、ホームページ等で広く県民に周知するとともに、誰もが身近な図書館を利用して読書に親しむことができるよう、共生社会の実現に向けた気運醸成を図ります。 成果指標 ・公立図書館等へのバリアフリー図書セットの貸出件数 令和7年度目標 累計50 ・図書館職員等への読書バリアフリー関連講座や研修会の受講者数 令和7年度目標 累計150 資料 読書に係るサービスの情報入手先 1 徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター 〒770-0005 徳島県徳島市南矢三2丁目1-59 電話 088-631-1400 FAX 088-631-1500 E-mail sityoukaku@kouryu-plaza.jp 点字図書館、読書支援機器の利用、点訳・音訳奉仕員の養成に関すること http://www.kouryu-plaza.jp/sc-center/ 2 徳島県立図書館 〒770-8070 徳島県徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園 電話 088-668-3500 FAX:088-668-6904 E-mail:library@bunmori.tokushima.jp 障がいのある方へのサービス https://library.bunmori.tokushima.jp/libdisabled.php 3 サピエ(視覚障害者情報総合ネットワーク) ホームページアドレス https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW 4 社会福祉法人 日本点字図書館(サピエのシステム管理) ホームページアドレス https://www.nittento.or.jp/ 5 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会(サピエの運営団体) ホームページアドレス http://www.naiiv.net/ 6 国立国会図書館 障害者サービスを実施する図書館へのサービス https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual.html 7 エンジョイ・デイジー(公財日本障害者リハビリテーション協会 情報センター) デイジー図書について https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/ 8 文部科学省 読書バリアフリー法の推進について https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/1421441.html 9 公立図書館における障がい者サービスの好事例 「社会教育施設において障害者が学習活動に参加する際に行う合理的配慮に関する調査(令和元年度)」P.89〜P.107 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00929.html 10 厚生労働省 視覚障害者等の読書環境の整備(読書バリアフリー)について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sanka/bunka_00003.html 11 総務省 情報バリアフリー環境の整備 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/b_free/b_free1.html 12 公益財団法人文字・活字文化推進機構 「読書バリアフリーと図書館の役割〜誰もが読める環境づくり〜」フォーラム https://www.youtube.com/watch?v=xDKIDLN04GE&t=8s バリアフリー図書紹介動画 https://www.youtube.com/watch?v=cLdxAiBfbXM&t=10s 13 公益社団法人日本図書館協会 図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/865/Default.aspx 図書館の障がい者サービスについて 日本図書館協会・障害者サービス委員会 http://www.jla.or.jp/portals/0/html/lsh/index.html 徳島県読書バリアフリー推進協議会設置要綱 (名称) 第1条 この協議会は、徳島県読書バリアフリー推進協議会(以下「協議会」という)と称する。 (目的) 第2条 視覚障がい、発達障がい、肢体不自由等の障がいにより読書が困難な者(以下「視覚障がい者等」という)の読書環境を整備・充実させることにより、障がいの有無に関わらず、すべての県民が読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受し、一生を通じて学び続け、人生を豊かにできる社会の実現を図ることを目的とする。 (協議事項) 第3条 協議会は、前条の目的を達成するために、次に掲げる事項について協議・提言等を行う。 @視覚障がい者等の読書環境の整備・充実について A視覚障がい者等の読書環境の整備を通じた共生社会の推進について B視覚障がい者等の当事者、図書館、ボランティア団体、行政機関等との連携の構築について Cその他、徳島県読書バリアフリー推進計画について (構成) 第4条 協議会は、次の者をもって委員15名以内で組織し、教育長が委嘱する。 @学識経験者 A福祉関係者 B障がい者団体等関係者 C教育関係者 DICT関係者 E図書館関係者 Fボランティア関係者 2 委員には、視覚障がい等の当事者を含めることとする。 (任期) 第5条 委員の任期は2年以内とする。 2 委員は、再任されることができる。 3 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 (委員長及び副委員長) 第6条 協議会には委員長及び副委員長を置く。 2 委員長は、委員の互選により選任し、副委員長は委員長が指名する。 3 委員長は、会務を総理し、協議会の議長となる。 4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。 (会議) 第7条 協議会は、委員長がこれを招集し、会議を主宰する。 2 委員長が必要と認めたときは、委員以外の者に会議への出席を求め、意見等を聴取することができる。 (庶務) 第8条 協議会の庶務は、 県教育委員会生涯学習課において行うものとする。 附 則 この要綱は、令和3年1月8日から施行する。 徳島県読書バリアフリー推進協議会委員名簿 学識経験者 徳島文理大学准教授 冨樫 敏彦 鳴門教育大学教職大学院准教授 高原 光恵 福祉関係者 視聴覚障がい者支援センター所長 令和3年4月1日より 総括専門企画員 西條 美鈴 徳島県発達障がい者総合支援センター所長 田尾 智子 令和3年4月1日より 川村 美樹 障がい者団体等関係者 (社福)徳島県身体障害者連合会理事長 (公財)徳島県視覚障害者連合会会長 久米 清美 日本ALS協会徳島県支部事務局 長尾 美津子 教育関係者 徳島県特別支援学校長会会長 中内 貴文 令和3年4月1日より 上野 清文 徳島視覚支援学校 研究情報課課長 内田 敬久 ICT関係者 特定非営利活動法人チルドリン徳島 理事長 泉 理加 徳島県立総合教育センター 教育情報課課長 令和3年4月1日より GIGAスクール推進課課長 M口 和弥 図書館関係者 徳島県立図書館 資料・児童担当課長補佐 田村 加代 令和3年4月1日より 中火 保江 阿波市立図書館館長 丸山 幸子 徳島大学学術情報部図書情報課副課長 宮本 晴江 ボランティア関係者 点訳燦(さん)の会 代表 田房 英子 音訳ボランティア 宮内 笑子 徳島県読書活動の推進に関する条例 平成29年3月21日 徳島県条例第二十二号 読書活動は、全ての世代において、人格を形づくり、知識や感性を高めるとともに、文化的で豊かな社会の構築に主体的に寄与する一つの方策となる。 近年におけるインターネットをはじめとする各種情報メディアの急速な進展は、県民一人一人の生活スタイルを多様化させる一因となっており、それぞれの時間の過ごし方が多岐にわたることで、子供から大人まで読書習慣を持たない傾向が強まっている。 こうしたことから、読書活動の意義や重要性について県民の理解及び関心を高め、家庭、学校及び地域の連携のもと県民総ぐるみで自主的に読書活動に取り組む環境を整備する必要がある。 また、県民の読書活動を支える拠点である徳島県立図書館は、平成二十九年度に創立百周年という大きな節目を迎え、これまで取り組んできた催しや他の図書館との連携を更に推進し、県民の読書活動の機会を一層充実させることが求められている。 ここに、子供から大人まで、全ての県民が読書活動に取り組む環境づくりを積極的に推進し、文化的で豊かな県民生活の実現を目指し、この条例を制定する。 (目的) 第一条 この条例は、県民の読書活動の推進に関し、基本理念を定め、及び県の責務を明らかにするとともに、読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、県民の読書活動を推進し、もって県民一人一人の心豊かな生活と活力ある社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この条例において「学校等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第六項に規定する認定こども園をいう。 (基本理念) 第三条 読書活動は、県民が人生を豊かに生きる上で大切なものであり、文化的で豊かな社会の構築に寄与するものであることに鑑み、全ての県民が読書活動を容易に行うことができるよう、積極的に環境の整備が推進されなければならない。 (県の責務) 第四条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、県民との協働により読書活動を支援するための情報発信及び普及啓発を行うとともに、県民に読書活動の機会を提供し、県民の関心を高める施策を推進するものとする。 2 県は、基本理念にのっとり、学校等が、それぞれの学校等の特性及び個人の発達段階に応じ、読書に親しませることにより読書の楽しさを伝え、読書習慣を形成するための取組を行うことを支援するものとする。 3 県は、基本理念にのっとり、インターネットを利用した徳島県立図書館と県内の公立図書館等との間における図書の検索及び図書の相互貸借のための情報の共有を促進するとともに、子どもの読書活動の推進に関する法律(平成十三年法律第百五十四号)第九条 第一項の規定に基づく徳島県子どもの読書活動推進計画に関する施策が円滑に実施されるよう、市町村、学校等、公立図書館その他の関係機関及び民間団体との連携に努めるものとする。 (県民の取組) 第五条 県民は、日常生活の中で読書に親しみ、読書活動への積極的な参加及び協力を行い、互いの交流に努めるものとする。 2 県民は、家庭において、読書の楽しさを共有することにより、家族の意思疎通を深め、読書活動がより身近に感じられ、読書への興味及び関心を深めることができる環境を整えることに努めるものとする。 3 県民は、地域において、学校等、図書館その他の読書活動に関係する施設又は読書活動を推進する団体等と連携して、あらゆる世代を対象とした日常的な読書活動の推進に資するよう努めるものとする。 (徳島県読書活動推進期間) 第六条 県民が積極的に読書活動に取り組み、読書習慣の定着を図るため、四月二十三日から五月十二日まで及び十月二十七日から十一月九日までを徳島県読書活動推進期間とする。 2 県は、徳島県読書活動推進期間の趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。 (財政上の措置等) 第七条 県は、県民の読書活動の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。 附 則 この条例は、平成二十九年四月一日から施行する。 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法) 令和元年法律第四十九号 令和元年6月28日公布・施行 目次  第一章 総則(第一条―第六条)  第二章 基本計画等(第七条・第八条)  第三章 基本的施策(第九条―第十七条)  第四章 協議の場等(第十八条)  附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の視覚 障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化(文字・活字文化振興法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「視覚障害者等」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。 2 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい書籍」とは、点字図書、拡大図書その他の視覚障害者等がその内容を容易に認識することができる書籍をいう。 3 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」とは、電子書籍その他の書籍に相当する文字、音声、点字等の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第十一条第二項及び第十二条第二項において同じ。)であって、電子計算機等を利用して視覚障害者等がその内容を容易に認識することができるものをいう。 (基本理念) 第三条 視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。  一 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること。  二 視覚障害者等が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。  三 視覚障害者等の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (財政上の措置等) 第六条 政府は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 基本計画等 (基本計画) 第七条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下この章において「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策についての基本的な方針  二 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策  三 前二号に掲げるもののほか、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣、総務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。 4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 5 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。 (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定めようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3 地方公共団体は、第一項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 前二項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。 第三章 基本的施策 (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等) 第九条 国及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも連携して、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、点字図書館について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化) 第十条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。  一 点字図書館等から著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第二項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援  二 視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、公立図書館等、点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化 (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援) 第十一条 国及び地方公共団体は、著作権法第三十七条第一項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため、製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、特定書籍及び特定電子書籍等の効率的な製作を促進するため、出版を行う者(次条及び第十八条において「出版者」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等) 第十二条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と出版者との契約に関する情 報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備) 第十三条 国は、視覚障害者等が、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう、その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとする。 (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。 (情報通信技術の習得支援) 第十五条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発の推進等) 第十六条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。 (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等、国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 第四章 協議の場等 第十八条 国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省その他の関係行政機関の職員、国立国会図書館、公立図書館等、点字図書館、第十条第一号のネットワークを運営する者、特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。 附 則 この法律は、公布の日から施行する。