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外国人児童生徒が少ない学校では日本語指導を含め、コーディネーター的役割を担う担当者を配置できないことも考えられますが、その場合でも管理職がリーダーシップをとり、年間を通した役割(学級担任との指導連絡方法、学校適応のための会議、保護者会、日本語指導の記録など)を示していきましょう。
そして校内組織の中で外国人児童生徒教育を目に見える形にしていき、全教職員が意識できるようにすることが大切です。
担任に日常的に声かけをして、悩みを聞いたり、一緒に考え行動したりすることは管理職として重要な役割です。特に、初めて外国人児童生徒を受け持つ担任にとって、管理職が一緒に考え行動することは大きな支えになります。保護者への連絡なども、言葉の壁や文化的な違いがあるために、担任だけでは対応が難しい面があります。そのような場合には、管理職が中心となってチームで保護者と温かい関係をつくることが大切です。
外国人児童生徒の教育については、担任が基本的な知識や経験がないために、どう指導して良いか分からないという不安を感じてしまうことがあります。そのような不安を解消していくためには、研修が重要です。外国人児童生徒の教育の充実は、単に外国人児童生徒だけではなく、全ての児童生徒にとって分かりやすい授業、安心して過ごせる学級・学校づくりにつながることを、管理職が全教職員に明確に伝えることが重要です。
研修を考える時は、まずどのような研修を計画すると良いか、情報を集めましょう。同じ市町村の外国人児童生徒の受け入れ経験がある学校や、教育委員会の担当者、国際交流協会、地域のNPOなどから講師の情報を集めてください。継続的に研修ができる場合には、教職員だけではなくPTAの方に参加を呼びかけることも考えられます。地域で暮らす一員ですので、PTAの方にも協力していただけるきっかけになる研修を考えたいものです。 また、ワークショップなども取り入れながら、学級担任どうしがお互いに悩みを共有したり、解決方法を考えたりできるように工夫したいものです。
国際理解教育では、単に他国の文化を理解するだけではなく、自分の友達として相手を理解して、互いに助け合い、時にはぶつかりながらも相手を認める態度・能力を育むことが求められます。そのことが日本の児童生徒にとっても、外国人児童生徒にとってもお互いに異なる文化を持つ友達を認め合い、共生する学級・学校づくりにつながります。
編入学の面接では、保護者も児童生徒も不安な気持ちでいっぱいです。言葉だけの説明では十分に伝わらないことが多く、さらに不安を招いてしまうことがあります。面接では、温かい雰囲気をつくることが重要です。
面接には担任、養護教諭に同席してもらい、通訳を依頼したり、保護者と同国出身の友人にも同席してもらうと保護者が安心して面接に臨めるでしょう。
面接の準備として・・・児童生徒個票を作成する。
面接で質問する内容をあらかじめ用意しておくと面接がスムーズに進むでしょう。
質問の内容として次のような項目が考えられます。
また、日本の学校教育は母国の教育事情と違う点があります。(子どもたちの国を知ろう)
卒業アルバムなどがあれば、日本の学校生活の流れや日本の児童生徒の様子などを具体的にイメージすることができ、未知の学校生活への不安を解消することができるでしょう。
参観日など保護者が集まる機会を利用して、外国人児童生徒の保護者を紹介しましょう。日本人保護者とのつながりができることで、日本の生活や習慣にも早くなじむことができ、分からないことを相談することもできるでしょう。また日本人児童生徒の保護者にとっても異文化を学び交流する良い機会となるでしょう。
外国人児童生徒の日本語指導を在籍教室ではなく、教材室や放送室など教室外で行う際には、児童生徒と日本語指導を担当する教師、あるいは外部からの日本語講師が落ち着いて、安心して学べる教室環境を整えることは管理職の重要な役割です。備品として学習に必要なカレンダーや時間割、50音表、辞書、ホワイトボードなどもあればなお良いでしょう。
徳島県教育委員会では、日本語講師や児童生徒の母語を話せる通訳者等の人材ネットワークを構築しています。学校内で、日本語指導を担当する教師を任命することができない場合は、日本語指導や通訳が必要であれば、面接終了後、速やかに教育委員会に連絡して、配置を依頼しましょう。
日本語指導担当者と情報交換を行い、一緒により良い支援を考えていきましょう。外部からの日本語講師は、児童生徒の母語だけでなく、母国の学校の様子や文化を知っている場合もあります。そのため、児童生徒は短時間で日本語講師に心を開き、信頼関係を築くことが可能です。
一方、外部からの日本語講師が担当する時間や期間は極めて限られており、児童生徒の学校生活のごく一部しか知ることはできません。教科等や学校・学年行事なども含め、児童生徒の日々の状況を日本語講師に伝えることで、より効果的に支援することができます。日本語講師を通して、児童生徒の心のつぶやきなどを知ることは、学級担任へのアドバイスにも役立ちます。特に、副校長・教頭は、日本語講師の勤務などに関する事務処理も行うことが多く、このような関係をつくるパイプ役となります。
また、外部からの日本語講師を全職員に紹介することは、ちょっとした管理職の配慮ですが、指導をしている日本語講師にとっては温かく受け入れてくれたと思うことが多いようです。
学校を支えている地域には、PTA関係者や町内会長をはじめ、子ども会の役員など、協力を依頼できる人材が豊富です。管理職は地域の行事に出向き、様子を見ながら継続的な連携を考えていくのも良いでしょう。地域になじみ、地域で友達と活動できるようになれば、学校生活への適応も日本語の習得も進み、自分を表現する力も伸びていきます。
教育委員会から配置される日本語講師だけでは、急病や災害など、緊急事態に対応できない場合もあります。緊急時に備えて通訳ができる人を確保しておく必要があります。徳島県教育委員会に問い合わせて、紹介をしてもらったり、保護者の友人で通訳ができる人を紹介してもらっておくと良いでしょう。
保護者にとっても日本語の学習は生活していく上で重要なことです。地域には無料又は実費のみで授業が受けられる日本語教室もあるので紹介してあげましょう。他の外国人との交流も日本語学習の意欲向上につながるでしょう。
外国人児童生徒は、日本語が分からない状態では、大きな精神的不安やストレスを感じています。児童生徒の様子や安全を確認するため、管理職が校内巡視をする際に、外国人児童生徒が在籍している学級の様子を丁寧に観察して、本人にも積極的に声かけをしたいものです。日本語でも「おはよう」「げんき?」「がんばっとんなぁ」など簡単な言葉でみんなが応援する姿勢を示すことが外国人児童生徒に大きな勇気を与えます。
教室には、その学級の児童生徒の作品が掲示されています。校内巡視の際に、外国人児童生徒の作品がどのように掲示されているかを見てみましょう。母語で書いた作文に日本語講師や通訳者が日本語の訳を付けている場合などがあります。書いてある意味が分かることによって、その子どもへの興味を持ったり、身近に感じたりするこもあるでしょう。ちょっとした配慮のあるなしで、その子どもが日本人児童生徒から受ける印象が違ってくるはずです。
また、学級通信で、編入学したばかりの外国人児童生徒の母語の作文(日本語訳付き)を紹介したり、外国人児童生徒の母国のことをクラスで紹介する機会を設けたりすると良いでしょう。言葉が分からないからこそ配慮してあげたいことを、管理職の視点から担任にアドバイスしてください。
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